おしらせ

2018-07-14 08:34:00

相続税は,遺産が「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」以上の場合だけです。

 相続になった場合,「相続税」がかからないかどうかの,ご相談をよくおうけます。

 実は相続税は,遺産が「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」を超える場合にかかってくるもので,平成28年でみるとその年の死亡者の8.1%が相続税課税の対象となっており(国税庁ホームページ),逆に言うと91.9%の人には関係のないものとなっております。

 ですから,「普通の人」であれば,あまり相続税というものは気にしなくても大丈夫ということになります。

 

 ただし,上記のラインを超えるかどうかギリギリの場合,特に遺産に不動産が混じっている場合は注意が必要です。相続税を算定する際の不動産の土地の「評価額(相続税の課税対象となる価格)」は,毎年はらっている固定資産税を算定する際の「評価額(固定資産税評価額)」とは異なり,それより概して高くなります。したがって,きちんとその「評価額」を計算しないと,実は相続税がかかるケースだったという場合もありえます。そしてその「評価額」の計算は,特に都市部(地方の中小都市も含む)などの路線価地域においては,路線価や不動産の形などから,色々と算定する作業をしないと分かりません。

 したがって,上記のラインを超えるか超えないか微妙で,かつ不動産がある場合(特に,都市部に不動産をお持ちの場合)には,まずはきちんと不動産の評価をしておかないと,あとから税金をかけられるリスクがあります。

 そしてもしも相続税がかかる場合,申告の期限は10ヶ月以内ですから,この期限をすぎてしまうと「小規模宅地の特例」が使えなくなるおそれがあるなど「本当は,もっと税金を安く出来たのに,出来なかった。。」という問題が起きる可能性があります。

 またそのほかのリスクも考えられますので,遺産の総額(預貯金だけでなく,不動産や,有価証券なども含む)が上記のラインを超えるかどうか微妙な場合には,いちはやく税理士さんに相談しましょう!

 

※なお相続税など税金に関する専門家は,税理士となります。税金に関して正確な詳しい情報を知りたい場合は,税理士までご相談ください。(当事務所でも,必要であれば,税理士さんをご紹介いたします。)

2018-06-30 18:22:00

ある程度の金額で契約を結ぶときは,必ず契約書をチェック・作成しましょう!

 日常生活のスーパーでの買い物から始まって,携帯電話の契約,生命保険契約の締結,車などの売買契約など,私たちの日常は実は「契約」であふれかえっています。

 

 しかし,このように毎日のように「契約」をしておきながら,「契約書」や「約款」のチェックだとか,作成だとかについは,ほとんど何もしない人が多いと思います。

 正直,自分もインターネットで買い物するときに,いちいち契約関係などをチェックなどしません。。(笑)

 

 ただ,職業柄,そういった契約書や約款をスルーすることで,本当に悔しい思い,夜も眠れないストレスを味わう人を,何人も見てきました。

 結局,いくら「きちんと確認していなかった。」と言っても,契約書にサインしてしまった以上は,原則としてその契約書に「拘束」され,そのときには大変悔しい思いをしたとしても,今更どうしようもないからです。

 そういった経験から考えると,やはり「一定金額」以上の契約をする際には,「契約書」や「約款」はチェックすべきだし,「契約書」がなければ「契約書」を作るべきだと思います。

 ちなみに,どこをチェックすべきかという点については,契約書ごと取引ごとによってそれぞれ違いますが,たとえば典型的な商品のインターネット取引などでは①クーリングオフの有無(解除・解約の規定),②「保証」の有無,その期間の長さ,などは最低限チェックすべきでしょう。

 なお契約書の話とは若干ずれますが,インターネット取引などの通信販売取引の場合,販売業者は「広告」の画面と「最終申し込み」の画面の両方に,「返品は出来ない」旨の表示をしないかぎり,返品に応じなければならず,これが事実上のクーリングオフのような制度になっています(特定商取引法15条の3第1項)。したがって,インターネットで商品を購入する際には,「広告」の画面と「最終申し込み」の画面の両方に,「返品は出来ない」旨の表示があるかどうかを確認した方がいいと思います。もしもその表示がなければ,商品到着後8日以内に返品をすることは可能ですが,表示があれば出来ません。特にパソコン・家具などの10万円単位の商品を購入する際には,きちんと確認することがおすすめです。

 

 以上は個人の取引を前提に書いていますが,事業取引などで,多額の金銭を支払う場合は,契約書のチェック・作成は本当に「必須」だと思います。特に,事業取引は,消費者取引と違って消費者契約法や割賦販売法のような保護してくれる法令がありません。従って,「契約自由の原則」,言い替えれば「自己責任の原則」「弱肉強食の原則」がより強く適用される世界なので,なおさらです。

 

 契約書を作らずに相手を信用して多額の取引をしたところ,しばらくしてから相手に裏切られ,多額の損失を被ったという話は,一つ二つではなく,本当にちょくちょくあります。

 もちろん,日本の契約はほとんどが諾成契約(書面がなくても,合意だけで成立する)ので,仮に契約書がなくても,合意の存在を立証すれば契約の成立を証明することは可能です。ですから,たとえば「Aという商品を買い,○○万円払うという売買契約が成立した。」という最低限度の事実の立証は,納品書や領収書の存在などからすることが出来るかもしれません。しかし,その売買契約の際に「Aという商品は,最低でも3年間は問題なく利用できることを前提で,売買契約を結んでいた」とか,もう少し細かいレベルの合意となると,書面やメールなどで証拠に残っていない限り,口頭の合意だけでそれを立証することは極めて困難です。

 

 そして,そういった細かいレベルの合意や取引の前提(と思っていたこと)こそが,多くの場合紛争の種になるので,やはり「失敗したら,事業に大きなダメージが残るレベル」の規模の事業取引を行うのであれば,契約書の作成やチェックは「必須」で,細かいレベルの合意事項や取引の前提と思っていることまで,しっかりと書き込むべきだと思います。

 そして,そのためにコストがかかる場合には,そのコストは最低必要経費の一つだと思います。逆に言えば,その契約を結ぶことによって契約書作成のコスト(大体は,数万円程度だと思います)を上回る「利益」を出す見通しがないのであれば,そもそもそういう「儲からない」取引の契約はすべきではないと思います。

2018-06-23 20:39:00

外国人の受け入れが拡大(新しい就労資格が創設)されそうです。

 先だって,閣議決定された政府の「骨太の方針」によると,外国人の受け入れ拡大がすすみそうです。具体的には,新しい就労資格が創設されるとのことです。

 

 現状の外国人の在留政策というのは,ごくごく大雑把に言えば①能力の高い優秀な外国人か,②お金持ちの外国人のみを,専門性の高い職種に限定して受け入れる,といったコンセプトであるように思います。(ですから当事務所でも,外国人のビザの取得をするためには,その方が上記の①か②にあたることを必死にアピールしています。)

 今回の,骨太の方針をみたところ,そういった傾向ががらりと変わった,とまではいえないように思いますが,確かにこれまでなかなかビザの選定が難しかった,農業,介護,建設,造船,宿泊の業種で,ビザを取得することがやりやすくなりそうな予感はします。

 もともと日本のビザは,ホワイトカラーの職種だとだいたいどこでも働けるのですが,そうでない職種だと,外国人のコックさんとか,芸能・エンターテイメント関係とか,一部の職種に限定されていて,それ以外の職種では働くことが難しかったと思います。また,認められている職種についても,アルバイト採用ではまずビザはおりませんから正社員採用でなければならず,その給与も最低でも20万前後はないと無理です。(最近コンビニで増えている外国人は,留学生などが「資格外活動許可(原則週28時間まで,職種・給与の制限なしに働ける)」を利用して働いているものだと思われます。)

 そういった意味では,農業,介護,建設,造船,宿泊などの職種で,管理職(ホワイトカラー)以外のポジションでも外国人が働けるようになってくるとしたらば,大きな変化といえるのではないでしょうか。

 

 外国人をめぐっては,「島国」日本だけに,色々な意見はあるでしょう。しかし,個人的には7年以上入管業務に携わってきて,日本に来て一生懸命勉強している外国人の方々には,本当に真面目で優秀な方が多いなと思っています。そして,そういった外国人の方々から「何とか,ビザを取って下さい。お願いします。」と泣いて頼まれたり,色々な泣き笑いの場面に遭遇してきただけに,気持ちの中では,そういったしっかりと技術と知識を身につけた外国人には,きちんとビザが下りるような国になって欲しいと思います。そしてもっと言えば,外国人だろうが日本人だろうが,優秀で実力のある人が伸びて切磋琢磨できる社会になってくれたらいいなあと思います。

 思えば,かつて絶頂を極めた日本経済も,長時間労働が社会問題になりながら(すでに,日本人の年間総労働時間は米国を下回っているというのに。。),一方で生産性はG7で最低レベルという,なんとも哀れな経済になってしまいました。日本人の文化なのか,結果よりもプロセスを重視し過ぎて,「すぐに利益にならないこと」「今すぐ結果につながらないこと」に無駄に多くの時間と労力をかけ,頑張っている割にはたいして「生産」していない(結果を出していない)のでしょう(あるいは,単に「だらだら」仕事をしているだけなのかも。。)。こういった文化は自分たちでは変えることはなかなか難しいと思いますので,現状を打破する一つの施策として,各分野での優秀な外国人の進出が進んで欲しいなと思います。

2018-06-23 13:01:00

判断能力がある・ないの判断は,どうすればいいのか?について

 現実の実務で,「判断能力」があるかないかを,どう判断すればいいかに悩むことはたくさんあります。

 

 まず,前提として判断能力について法律論を整理しておくと,一般に判断能力といわれる問題には,「意思能力」と「行為能力」の二つのレベルの能力に分けて考えることが必要です。

 このうち「意思能力」は小学校高学年程度の判断能力があれば満たされることになります。そして,遺言書の作成については,条文上は未成年(15歳以上)でも出来ることになっており(民法961条),成年被後見人でも一定の要件のもとに遺言書の作成を認めている(民法973条②)ことから,一般にはこの「意思能力(遺言能力)」があればいいということになっています(通説・実務)

 したがって,遺言書の作成の場面での「判断能力」というのは比較的低いものであってもよいということになります。

 私も認知症の方の公正証書遺言の作成に何度か立ち会ったことがありますが,簡単な内容の遺言書(「全財産を,お世話になっている姪にあげる」位の遺言)であれば,氏名・住所・生年月日がいえ,自分の財産を誰にあげるかを自らの口で発することが出来れば,仮に認知症の診断が出ている方であったとしても,公正証書遺言の作成は認めているようです。

 

 これに対し,契約の締結には「行為能力」という能力が必要となり,これは「単独で,完全に有効な取引行為(法律行為)をすることができる能力ないし資格」と定義され,未成年者(20歳未満)は一律に「行為能力」はないというのが条文の規定ですから,前述の「意思能力」よりはハードルがかなり高いことになります。

 ただ,その定義の意味は分かる(難しくない)と思いますが,現実にこの能力があるかどうかの判定は大変難しいなあーというのが,率直な感想です。

 

 この点,「認知症」については,長谷川式スケールなど,いくつかの判断方法が確立されていますが,「行為能力」と「認知症」というのはイコールではなく(そもそも定義が違う),「行為能力」の方についての判断方法はまだ確立されているとは言いがたいからです。実際「認知症」であっても,氏名・住所・生年月日がすらすら言えて,不動産売却の意思や取引の条件について詳細な指示が出来る方(つまり「行為能力」はあると思われる方)も,たくさんいらっしゃいます。

 ちなみに昔「行為能力」で悩んだ時に,医師の正式な判断を仰ごうとすると,逆に医師から「行為能力」って何だ?みたいな話をされることもあり,それは「法律行為を単独で有効に行えるかどうかの能力」ですって説明しても,「『法律行為』というのが何かということについては医師の専門領域ではないので,結局「行為能力」というのは医師の判断する領域ではありませんわー」みたいに言われたこともあります。

 確かにそうなんです。。

 

 この点,社会福祉協議会では「契約締結判定ガイドライン」というのが定められており,一つはこれが参考になるかなと思いました。参考までに,ネットに転がっていた(公開されている)「契約締結判定ガイドライン」のPDFをつけておきます。

pdf 契約締結判定ガイドライン.pdf (0.1MB)

2018-06-21 06:10:00

相続権のない方(友人,遠い親戚など)が,本人の死後,本人の通帳からお金を引き下ろして,病院代などを支払うことは出来るか?について

 相続権のない方が,本人の死後,本人のお金で,死亡直前にかかった病院代の支払いなどを行うことは許されるのでしょうか?これは,「横領」にはならないないのでしょうか?

 先日,ふとそうした相談があり,本人のお金で入院費などを支払ったことが,あとから親族などから文句を言われないか,心配になっているというご相談を頂きました。

 

 結論からいえば,これはもちろん許されます。

 というのも,死亡直前にかかった病院代(だいたい死亡後1~3ヶ月で請求が来る)は,それが正当な請求である限り,必ず払わなければなりません。もしも払わなければ,遅延損害金がかかり,本来払うお金に支払いが遅れた分の遅延損害金を足して払わないといけなくなってしまいます。

 もしもそういった病院代の請求を,死亡した本人の財産から支払ってあげた場合,遅延損害金がかかるなどの損害が発生したり増えたりすることを「止めて」あげたことになります。

 このような行為は,本人(相続人)にとってもプラス(有益)な行為なので,法律上,第三者が勝手にやっていいことになっているのです。

 

 これは「事務管理」といわれる行為で,法律では民法の697条以下に規定されています。

 なお,事務管理にとしてどこまでやっていいかについては,「処分行為」については本人の追認(同意)が必要となるというのが判例です大判大7・7・10民録24輯1432頁)。

 逆に「保存行為」「管理行為」については,本人の追認はいらないと解されます。そして,債務の支払いは「保存行為」に該当するので,本人の死後に相続権のない方が行っても,問題はないことになります。(ただし,いったん本人の代わりに事務管理を行った場合は,きちんと最後まで継続して行う義務を負います(民法700条)。また,本来払わなくていい債務を支払ってしまったり,どさくさにまぎれてちょっとお金をもらったり紛失してしまった場合などには,責任を負う可能性もあります。)

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