おしらせ

2018-03-10 09:23:00

農地を相続した場合,「○○土地改良区」から「賦課金」を課されることがあるので,注意しましょう!

 農地を相続した場合,突然「○○土地改良区」というところからお手紙がきて,「賦課金」を支払うよう求められることがありますので,注意しましょう!

 

 この「土地改良区」というのは,土地改良法によって設立された「組合」や「法人」であり,「行政機関」ではありませんが,たとえば農業用水などを利用した場合などにかかる「賦課金」を「耕作者」に請求する権限をもっており,その場合には地方税の徴収と同じ権限を「土地改良区」は持ちます。

 

 そして(なんともバカバカしいことに),相続人が明らかに農地を耕作しておらず第三者が耕作しているようなケースでも,この「土地改良区」は,現に農地を耕作している人ではなく相続人の方に対して,平然と農業用水などの「賦課金」を請求してくることがあります。

 

 少なくとも法令上は,被相続人が「耕作者」として土地改良区の名簿に名前が載ってしまっていると,たとえその相続人が明らかに耕作していないようなケース(たとえば,相続人が遠方に在住している未成年者であるようなケース)であっても,そこに請求してかまわないからです。

 しかも「賦課金」は毎年払わなくてはいけませんから,もしも相続して土地改良区の名簿に相続人の名前が載ってしまうと,その名簿から名前をはずさない限り,法令上は,その相続人は毎年「賦課金」を負担しなければならないことになります。

 

 だったら「『改良区』に,農地を相続しただけで,耕作はしていないことを届け出ればいいのでは?」と思われるかもしれませんが,話はそう簡単ではありません。

 ここは土地改良区の「定款」の内容次第で差がでる部分だとは思いますが,一般に土地改良区では,仮にその名簿から名前をはずしてもらおうとすると,現在耕作している人と一緒に印鑑を押して書類を提出しないといけないからです。

 ですから,相続などで事情がわからず,現在耕作している人が分からなくて,一緒に印鑑を押せない場合には,ひたすら払い続ける義務を負うこととなります。(ただし,農業委員会の名簿に現在耕作をしている人が載っていれば,その情報を照会することは可能です。)

 

 

 また,もう一つややこしいのは,一つの農地に関係する「土地改良区」というのは,必ず一つとは限らないということです。(特に名古屋市の西の一帯では,一つの農地に二つ三つの土地改良区が絡んでいることが多いようですね。)

 この「土地改良区」はきちんとした行政機関ではなく,あくまでも農業従事者からなる「組合」や「法人」であるため,それぞれの改良区で情報の共有が出来ておらず,一つの改良区で相続や耕作者の変更の手続きを終わらせても,別の改良区でもまたもう一度同じ手続きをしないとその改良区からは請求がきてしましいます。

 

 その結果,なんとか現在耕作をしている人を探し出して名簿から外す手続きを終わらせたとしても,まだ安心は出来ず,その農地に関係する「土地改良区」を全部探し出して,確認しないといけないことになります。

 こういったことは,だいたいは被相続人の生前の資料や一緒に同居していた人に確認すれば判明することが多いですが,もしもあまり事情を分からない被相続人の農地を相続される場合には,地元の農家の方で,そういった方面にお詳しい方などに教えていただくなどしないと,なかなか全部を把握するのは難しいかなと思います。

 

 

 したがって,農地を相続した場合,まずはその農地がどことどこの「土地改良区」に関係していて,それぞれの「土地改良区」ごとに,自分の被相続人が名簿に載っているか載っていないかを確認し,このうち名簿に載っている「土地改良区」については,それぞれ別個に手続きを進める必要があります。

 

 

 このような国民に余分な負担を課し,耕作していない人がなぜか農業用水の費用まで負担しなくてはいけないというバカバカしい仕組みはなんとかならないのか?(せめて,届け出は一つの改良区だけで終わるようにしてほしい)と思いますが,残念ながら今の実務は「個人情報の保護」の観点から,各土地改良区ごとにそれぞれ手続きをしないと,相続人に賦課金を課すようです。(少なくとも法令上は,それが可能となっています。)

 確かに「賦課金」というのは,だいたいが数千円から1,2万円位で収まることが一般なので,これまであまり問題視されてこなかったのかもしれませんが,しかし面倒で非合理的なシステムであることには変わりありません。法令や運用の改善が強く待たれるところだと思います。